そうなんだ!音楽運動学®
ID006
カテゴリー|肩・首
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カードクエスト
いいえ。腕を上げるときは上腕骨だけでなく、肩甲骨と鎖骨も一緒に動きます。日常語で「肩甲骨が上がる」と表せますが、医学的には上方回旋、後傾、外旋などが組み合わさります。
初心者向け説明
腕を横や前へ上げると、腕の骨だけが肩の付け根で動くように見えます。しかし実際には、背中側の肩甲骨も胸郭の表面をすべるように動きます。鎖骨も胸骨や肩甲骨との関節で動きます。
腕を高く上げるほど、肩甲骨は外側を上へ向ける「上方回旋」をします。同時に少し後ろへ傾き、向きも変わります。この協調によって、上腕骨の動く余地が保たれます。
肩甲骨と上腕骨の動きの割合は一定ではありません。腕を上げる角度や方向、測定条件、個人によって異なるため、「いつでも2対1」と覚えるより、肩甲骨も参加する動きとして理解する方が実用的です。
30秒から60秒の身体実験
肩甲骨の動きを確かめる
- 右腕を楽に下ろし、左手を右肩の後ろ側へ軽く当てます。肩甲骨の上部または外側に触れられる範囲で構いません。
- 右腕を前方へ、痛みのない高さまでゆっくり上げます。肩をすくめる必要はありません。
- 腕を下ろしながら、手の下で肩甲骨が動くことを観察します。1〜2往復で十分です。
- 左右を比べる場合も、動く量を優劣で判断せず、触れやすさや楽器習慣による違いとして観察します。
安全上の注意
痛み、しびれ、引っかかり、脱力感がある場合は中止してください。腕を限界まで上げたり、反対の手で肩甲骨を強く押さえたりしません。肩のけがや治療中の症状がある場合は医療者の指示を優先してください。
音楽演奏とのつながり
弓を動かす、鍵盤の広い範囲へ手を運ぶ、ドラムやマレットで高い位置を打つ、管楽器を構える動作では、腕と肩甲帯の協調が関わります。肩甲骨を無理に固定する必要はありませんが、動かし方の変更による演奏中の負担軽減を、これらの運動計測研究が直接示したわけではありません。
ただし「肩甲骨をたくさん動かす」ことが正解ではありません。楽器の高さ、腕の方向、必要な音量や速度に応じて、上腕骨・肩甲骨・鎖骨の動きが配分されます。
医学用語で深掘り
肩甲胸郭運動
肩甲骨と胸郭の間には一般的な滑膜関節はありませんが、機能的な接触面として肩甲胸郭関節と呼ばれます。肩甲骨の動きは胸鎖関節と肩鎖関節の運動を伴います。
肩甲上腕リズム
上腕骨の挙上と肩甲骨の上方回旋が協調する関係を肩甲上腕リズムと呼びます。研究では運動面によって比率が異なり、挙上中も連続的に変化することが示されています。
主に関わる筋
肩甲骨の上方回旋には前鋸筋、僧帽筋上部・下部線維などが協調します。上腕骨側では三角筋や腱板筋群が関わります。筋を一つずつ孤立させるより、複数の関節と筋の協調として捉えることが大切です。
参考資料
- Motion of the shoulder complex during multiplanar humeral elevation
- Effect of plane of arm elevation on glenohumeral kinematics
- 3-D scapular kinematics during arm elevation
カードクエスト
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このカードは「肩・首」カテゴリーの6枚目です。
カードを集めながら、演奏や発声に関わる身体のしくみを少しずつ深掘りできます。
前のカード「ID005」と、次のカード「ID007」も続けて読むことができます。