そうなんだ!音楽運動学®
ID011
カテゴリー|呼吸・声
011 / 100
カードクエスト
いいえ! 肺からの息で声帯が振動し、その音がノドや口の形で変わって声になります。
初心者向け説明
声の材料は、肺から送り出される空気です。空気が喉頭を通るとき、左右の声帯が近づいて振動し、音のもとが生まれます。ただし、この段階の音だけで普段聞く声が完成するわけではありません。
声帯の上にある咽頭、口腔、場合によっては鼻腔までを声道と呼びます。舌、唇、顎、軟口蓋などが声道の形を変えると、特定の周波数が強まり、母音や声色が形づくられます。
したがって声づくりは、呼吸、声帯振動、声道の調整が連続して協力する働きです。どこか一か所だけを強く操作するより、息と響きのつながりを観察します。
30秒から60秒の身体実験
同じ声帯振動でも口の形で音が変わることを確かめる
- 楽に座り、小さな声で「んー」と2秒ほど発声します。
- 同じくらいの高さと大きさを保ちながら「んー、あー」とゆっくり口を開きます。
- 喉に力を加えようとせず、口や舌の形が変わると音色が変化することを聴きます。
- 一度休み、「うー、えー」でも同じように違いを確かめます。
安全上の注意
かすれ、痛み、咳、息苦しさがあるときは行わないでください。大声や長い発声は避け、違和感が出たら中止します。声の不調が続く場合は耳鼻咽喉科などへ相談してください。
音楽演奏とのつながり
歌唱では、同じ音高でも母音や口腔の形によって響き方が変わります。管楽器でも、舌や口腔の形は気流と共鳴の調整に関わります。
「喉だけで出す」というイメージが必ず過緊張を起こすわけではありません。呼気、喉頭、声道を一続きの楽器として捉えると、音量や音色を複数の要素で調整できます。
医学用語で深掘り
音源とフィルター
声帯振動がつくる周期的な音を音源、声道の音響特性をフィルターとして考える「音源・フィルター理論」が、発声の基本的な説明に用いられます。
声帯振動と声門下圧
発声には声帯を振動させるための呼気圧が必要です。健康な被験者の測定では、声門下圧、音圧、基本周波数の関係には個人差があり、単純に息を増やせば同じ結果になるわけではありません。
声道共鳴
咽頭と口腔の形によって声道の共鳴周波数が変わります。フォルマントは母音の識別や声色に関わり、声帯で生まれた音と声道の音響特性は相互に影響します。引用した相互作用の研究の一つは2次元計算モデルであり、人への指導や訓練の効果を測った研究ではありません。
練習室へ持ち帰る
この記事のテーマ:声は声帯だけで完成する
身体の感覚だけでなく、実際の音や声で確かめます。
01 BEFORE
演奏前
短い音または声をいつも通り出し、始まり・長さ・響きを覚えます。
02 PLAY
演奏中
記事内の「30秒から60秒の身体実験」を行います。その直後に、同じ音・声・演奏動作へ戻り、感覚と実際の結果を一緒に確かめます。
03 LISTEN
演奏後
音の始まり、持続、響き、喉の負担感から一つを選んで比べます。
観察の焦点:記事の実験を行った後、実際の音や声へ戻り、感覚と結果の両方を確かめます。
変化が分からなくても構いません。痛み、しびれ、めまい、息苦しさ、強い違和感がある場合は中止し、症状が続くときは医療専門職へご相談ください。
参考資料
- Aerodynamics of the human larynx during vocal fold vibration
- Frequencies, bandwidths and magnitudes of vocal tract resonances during phonation
- Effect of supraglottal acoustics during human voice production
カードクエスト
011 / 100
このカードは「呼吸・声」カテゴリーの11枚目です。
カードを集めながら、演奏や発声に関わる身体のしくみを少しずつ深掘りできます。